by
淡波亮作
Language: Japanese
Release Date: December 23, 2015
■いずれも作者ならではの独特な味わいを持つ以下の3本で構成された、おトクな短編集です。
・エロティックでちょっと不気味で美しい不思議なサスペンス短編『光を纏う女』
(『月刊群雛2015年8月号』に掲載され、好評を博した作品です)
こんな調子で始まります。
“金糸銀糸を纏う女が、俺を誘惑していた。ダブルオーセブンのゴールド・フィンガーで見たような金箔まみれではない、有機的ななまめかしさを感じさせる不思議な光りかただった。まさに、肉体に直接刺繍を施したように、女の肢体はキラキラとしなやかに煌めき、揺らめいていた。
そうだ、間違いがなかった。女は俺を、誘惑しているのだ。俺は身を乗り出して………”
続きは本編にてお楽しみください!
・シュールレアリスム的な掌編『波』
こんな調子で始まります。
“砂浜を歩く私の足下には白く泡立った波が渦巻いて、私の角張ったかかとをさらおうとしていました。私は沖へ向かって、少しずつ歩いていたのです。黒っぽい重い砂に少しだけつま先をめり込ませながら、私は歩いていました。
数歩進んだとき、私は感じました。ゆるゆると動く水の屈折を通して見える私のゆがんだ足先が、波のその下へと抜けていたことを。
その下?...